ハローワークへ求職申込みと失業保険の申請(離職票の提出)をした後で、早期に安定した職業に就いた場合、「再就職手当」が支給されることをご存知ですか?仕事が見つからない場合に貰える失業手当(基本手当)は良く知られていますが、再就職手当については、あまり知られていないように感じます。
再就職手当とは「失業保険の受給資格のある方が、早期に安定した職業に就いた場合に支給される手当」のことで「より早期の再就職を促進する為の制度」です。退職の理由は人夫々ですが、できれば早く安定した職業に再就職したいと希望している人が多いと思います。そんな希望を叶えて手当を貰えるなら、より頑張って就職活動をしようと思いますよね!?
でも、具体的に「どのくらい早く、どのような条件で再就職したら手当が貰えるのか?」、そして「どのくらいの手当が貰えるのか?」等の疑問が湧いてくるかと思います。今回は、これらの疑問に対して具体的に解説します!
再就職手当の条件
再就職手当は、以下の条件を全て満たす場合に支給されます。
- 7日間の待機期間満了後に就職または事業を開始したこと
- 求職申込みと失業保険の申請をする前から採用が内定していた場合は対象外になる
- 待機期間中に内定をもらって、待機期間満了後に就職した場合は対象となる
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上あること
- 離職前の事業所へ再就職していないこと&離職前の事業所と資本・人事・取引等で密接な関わりがある事業所へ就職していないこと
- 自己都合退職で給付制限がある場合は、待機期間満了後の1ヶ月間については、ハローワークまたは職業紹介業者の紹介による就職であること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 派遣契約等で契約の更新が見込まれない場合や、契約の更新には目標の達成が必要な場合等は、対象外になる
- 原則として、雇用保険への加入条件を満たす雇用であること
- 雇用保険への加入条件は、週20時間以上の勤務と31日以上の雇用が見込まれること
- 過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当(障害がある方などが安定した職業に就き、1/3以上の基本手当の給付残日数がなかった場合に支給される手当)の支給を受けたことがないこと
再就職手当の条件はいくつかありますが、その中でも「2.基本手当の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上あること」が、重要な条件になってきます。
〈図1〉(引用元:ハローワークHP「再就職手当のご案内」)
この条件で注意が必要なことは、就職の内定日ではなく、就職日の前日までの給付残日数が1/3以上必要であることです。例えば、12月始めに内定をもらって、1月から就職する場合は、12月末時点での給付残日数が1/3以上必要になります。
また、自己都合による退職の場合は、「4.自己都合退職で給付制限がある場合は、待機期間満了後の1ヶ月間については、ハローワークまたは職業紹介業者の紹介による就職であること」という補足の条件があります。
〈図2〉(引用元:ハローワークHP「再就職手当のご案内」)
待機期間満了後の1ヶ月の間で再就職した場合は、「○○の紹介で就職した」ということを証明する「紹介状」が必要になってきますので、その際には、ハローワークや職業紹介事業者へ紹介状を発行してもらうようにして下さい。尚、給付制限が開始されて1ヶ月以上が経ってからの就職の場合は、就職の経路に制限はありませんので、紹介状の提出も必要ありません。
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再就職手当の金額
再就職手当の額は、基本手当の日額と支給残日数によって決まります。
〈図3〉(引用元:ハローワークHP「再就職手当のご案内」)
支給残日数が3分の1以上の場合と3分の2以上の場合で計算式が決められています。
- 支給残日数が3分の1以上の場合 ⇒ 基本手当日額×支給残日数×60%
- 支給残日数が3分の2以上の場合 ⇒ 基本手当日額×支給残日数×70%
支給残日数が1/3以上の場合は「60%」、2/3以上の場合は「70%」が夫々掛けられますので、支給残日数が多いほど、手当の割合が高くなっていることがわかります。
例えば、所定給付日数が90日、基本手当日額が5千円の場合で、支給残日数が30日(1/3以上)と60日(2/3以上)で比較してみると、
- 5千円✕30日✕60%=9万円
- 5千円✕60日✕70%=21万円
支給残日数が30日の場合は9万円、60日の場合は21万円の手当になりますので、支給残日数が多いほど手当額もかなり高くなります。再就職手当が「より早期の再就職を促進する為の制度」であることがよくわかりますね!
再就職手当の手続き
再就職手当の手続きは、以下のような流れになります。
- 再就職の報告(就職日の前日まで)
↓↓↓ - 再就職手当の申請(就職後~1ヶ月以内)
↓↓↓ - 手当の支給(申請後1ヶ月以降)
再就職が決まったら、就職日の前日までにハローワークへ報告をする必要があります。そして、再就職手当の条件を満たすと判断されたら、申請をして、後日支給という流れになります。
再就職の報告
再就職が決まったら、就職日(勤務開始日)の前日までに、以下の書類をハローワークへ提出する必要があります。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 採用証明書(再就職先に記入してもらう書類)
以上の書類を元に、再就職手当の条件を満たすと判断された場合は、「再就職手当支給申請用紙」が渡されます。尚、失業認定も同日に行われ、就職日の前日までの失業保険が支給されます。
再就職手当の申請
再就職手当の申請は、就職日の翌日から1ヶ月以内に以下の書類をハローワークへ提出する必要があります。
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険被保険者証
再就職の報告をした際に渡された「再就職手当支給申請書」と「雇用保険被保険者証」を提出します。尚、この書類は郵送で送っても大丈夫です。
再就職手当が支給される時期
再就職手当の申請をしてから約1ヶ月後に、支給に関する調査(実際に勤務しているかどうかの確認)が行なわれ、調査が終われば「支給決定通知書」という書類が届き、それから1週間程で支給されます。
まとめ
- 再就職手当の条件
- 7日間の待機期間満了後に就職または事業を開始したこと
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上あること
- 離職前の事業所へ再就職していないこと&離職前の事業所と資本・人事・取引等で密接な関わりがある事業所へ就職していないこと
- 自己都合退職で給付制限がある場合は、待機期間満了後の1ヶ月間については、ハローワークまたは職業紹介業者の紹介による就職であること
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 原則として、雇用保険への加入条件を満たす雇用であること
- 過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
- 再就職手当の額は、基本手当の日額と支給残日数によって決まる
- 支給残日数が3分の1以上の場合 ⇒ 基本手当日額×支給残日数×60%
- 支給残日数が3分の2以上の場合 ⇒ 基本手当日額×支給残日数×70%
- 再就職手当の手続きは、①再就職の報告 ⇒ ②手当の申請 ⇒ ③手当の支給、の流れになる
再就職手当は、早く再就職できた時のご褒美のようなものですね!次のステップへ進む為の大切な資金にもなりますので、現在就職活動をされている方は、手当を貰うことを楽しみに頑張ってみてはどうでしょうか?!
また、再就職した際には、再就職手当以外にも、以下の手当もありますので、参考にして下さい!
【就業手当】・・・失業保険の受給期間内に、所定の給付日数の1/3以上かつ45日以上を残して、再就職手当の支給対象とならない条件(1年を超える見込みのない雇用)で再就職した場合、その就業日ごとに、基本手当額の3割の就業手当が支給される。
【就業促進定着手当】・・・再就職手当を受けた人が、再就職先に6ヶ月以上雇用され、かつ再就職先で6ヶ月間に支払われた賃金が、失業保険の給付を受ける前の賃金に比べて低下している場合に、給付される手当
※参考「就業促進定着手当のご案内」