会社を退職した後、独立したり、直ぐに再就職しない場合は、社会保険から脱退することになりますので、「厚生年金から国民年金への切り替え」と、「退職先で加入していた健康保険から国民健康保険への切り替え」の手続きが必要になります。社会保険の脱退手続きは退職先が行ってくれますが、国民年金と国民健康保険への切り替えは自身で行う必要があります。
ここでは、国民年金と国民健康保険へ切り替えをする際に知っておきたいこと(手続きの期限、必要書類、保険料や支払い方法等)についてご紹介します!
※)退職されてご主人や親の扶養に入る場合は、手続きが異なります。
Contents
加入手続き
会社を退職してから再就職するまでに1日でも空いたら、国民年金&国民健康保険への切り替え手続きが必要になります。例えば、3/15に退職をして、3/17から再就職する場合でも、3/16の1日だけ、国民年金と国民健康保険へ加入することになります。
手続きの期限と必要書類
国民年金&国民健康保険への加入手続きは、
- 退職した日の翌日から14日以内に
- お住いの市区町村役場へ必要書類を提出する
ということが必要になります。
国民年金&国民健康保険の加入手続きをまとめたのが以下の表になります。
国民年金 | 国民健康保険 | |
窓口 |
年金窓口 |
国民健康保険窓口 |
必要
|
年金手帳 |
マイナンバーがわかるもの (個人カード、通知カード等) |
退職日が証明できる書類 |
||
身分証明書(運転免許証、パスポート等) | ||
印鑑 |
多くの役場では、国民年金と国民健康保険を同じ窓口で同時に手続きが行えます。
尚、必要書類は、各自治体によって異なる場合があるようですので、詳しくは各自治体へ問い合わせて下さい。私の場合は、マイナンバーは役場で調べてくれました。
※参考「全国自治体一覧」
退職日が証明できる書類について
離職票は退職先から送られてくる書類ですが、退職月の翌月中旬頃になりますので、退職証明書または社会保険離脱証明書を早めに送ってもらうように依頼しておいた方が良いです。
私の地域の場合、証明書が無くても、手続きの当日に役場から退職先へ連絡してもらって、退職日の確認ができればOKでした。その際は、退職先へ役場から連絡が入ることを伝えておく必要がありました。
手続きの可能日について
私の地域の場合、退職日の14日前~から手続きが可能でしたので、退職日の2日程前に退職先へ健康保険証と制服の返却、退職の確認サインをしに行き、その足で役場へ行って手続きを済ませることができました。
国民健康保険証の利用可能日
新しい国民健康保険証は当日に手渡されますが、利用開始日は、あくまで退職日の翌日からになりますので、ご注意下さい!
手続きを忘れたらどうなるの?
国民年金と国民健康保険は、厚生年金や他の健康保険に加入していない限り、自動的に加入することになっています(生活保護の方等の特例を除く)。
国民年金の手続きを忘れた場合
国民年金の手続きを忘れた場合は、社会保険の損失手続き情報を元に、役場で切り替え手続きをしてくれますが、手続きが遅れた場合は、後日、未払い分がまとめて請求されてしまいます(*_*)
※関連記事「国民年金の未納分の確認と支払い方法とは?納付期間が延長される「後納制度」について解説!」
国民健康保険の手続きを忘れた場合
国民健康保険への加入手続きを14日以内にしなかった場合は、その間に受診した医療費を全額自己負担しなければならず、医療費の払い戻しもできません。。。更には未納分を遡ってまとめて支払う義務が生じてしまいますので、くれぐれも忘れずに手続きをするようにして下さい!
尚、14日以内に手続きをすれば、手続き前に医療機関を受診して医療費を全額自己負担した場合でも、後日、保険証とレシートを医療機関へ持っていけば、払い戻しが可能です。
保険料と支払い方法
国民年金
国民年金の保険料は、平成29年4月~平成30年3月は月々16,490円(毎年変わる)で、支払い方法は、1.納付書、2.口座振替、3.クレジット払い、の3つから選べます。
また、「前納割」と言って、前払いすることで保険料が割り引かれる制度があります。
※「前納割」についてはこちらの記事を参考にして下さい!⇒「国民年金保険料を前納すると金額はこんなにも安くなる?!口座振替VS現金・クレジットで割引額を比較!」
国民健康保険料
国民健康保険料と支払い方法(主に納付書と口座振替)は、各自治体によって異なりますので、各自治体HPまたは下記サイト等で確認して下さい。
※「国民健康保険計算機」
健康保険の任意継続とは?
退職した際には、国民健康保険以外にも、退職した会社の健康保険を継続する「任意継続」も可能です。
保険料
保険の内容は国民健康保険とほとんど同じですが、保険料が異なります。
国民健康保険の保険料は各自治体が決定しますが、会社が加入する保険は、会社が運営する健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)が決定します。保険料は従業員と会社が折半しますので、退職後の保険料は、退職前の約2倍になります。
尚、協会けんぽの保険料に関しては、下記サイト等で確認することができます。
※各都道府県別の協会けんぽ保険料「協会けんぽHP」
※別サイト「任意継続保険料計算」
継続手続き
協会けんぽの任意継続は、
- 在職中の社会保険加入期間が2カ月以上あることが条件で、
- 退職した翌日から20日以内に、
- 最寄りの協会けんぽ事務所へ書類を提出する(郵送可)
ということが必要になります。
また、継続可能期間が退職後2年間と限定されており、1日でも保険料の納付が遅れると翌日には強制的に脱退させられます。
※各都道府県別の協会けんぽ連絡先「協会けんぽHP」
※「任意継続被保険者資格取得申出書」
切り替え時期と支払いの関係
退職した時期と再就職した時期によって、厚生年金と国民年金、会社の健康保険と国民健康保険、夫々の支払い月が異なってきます。
国民年金
国民年金と厚生年金の支払いは、日割りではなく月単位での支払いになります。
退職した時期と再就職した時期によって支払いがどうなるかを、下記の例で見てみましょう。
※引用元「日本年金機構HP」
厚生年金は、退職した翌日に資格が喪失し、保険料は資格喪失日の月の前月迄の支払いになりますので、
例1)3月末で退職した場合
- 資格喪失日:4/1
- 支払い:厚生年金は3月分までの支払い
例2)4/15に退職した場合
- 資格喪失日:4/16
- 支払い:厚生年金は3月分までの支払い
つまり、例1)と例2)のどちらも、3月分までは厚生年金、4月分~は国民年金の支払いということになります。
他の例も見てみると・・・
例3)3月末で退職して4/16に再就職した場合
- 資格喪失日:4/1
- 資格取得日:4/16
- 支払い:3月分も4月分~も厚生年金の支払い
例4)3月末で退職して、4/16に再就職後、4/20に退職した場合
- 資格喪失日:4/1、4/21
- 資格取得日:4/16
- 支払い:3月分までは厚生年金、4月分は国民年金と厚生年金の両方の支払いが発生するが、後日、厚生年金が還付される
例4)のように、月半ばで短期間の就職をした場合は、国民年金と厚生年金の両方の支払いが発生してしまいますが、後日、厚生年金が還付されることになっています。
国民健康保険
国民健康保険料は、加入した月から脱退した月の前月分まで、月単位での支払いになります。
わかりやすいように、下記図を参考に見てみましょう。※引用元「台東区HP」
上記の例を時系列で見ると、
- 4/末に退職 ⇒ 5/1~国民健康保険へ加入
- 7月中に再就職 ⇒ 7月に資格を喪失
- 9/15に退職 ⇒ 9/16~国民健康保険へ加入
- 2月中に再就職 ⇒ 2月に資格を喪失
結果、5月~6月、9月~1月、の合計7ヶ月分を支払うことになります。
再就職した際の手続きも忘れずに!
再就職して社会保険へ加入した際には、厚生年金と新しい健康保険への切り替えは再就職先が行ってくれますが、国民健康保険の脱退手続きは自分自身でする必要があります。
再就職先の健康保険に加入した日の翌日から14日以内に、以下の書類を持ってお住いの国民健康保険窓口へ手続きに行って下さい。
- 印鑑
- 国民健康保険の被保険者証
- 加入した職場の健康保険証
もし、脱退手続きを忘れた場合は、保険料が二重払いになる可能性があるのと、国民健康保険の被保険者証で医療機関を受診してしまうと、医療費を後で返納しなくてはいけなくなりますので、忘れずに手続きをして下さい!
今回のポイント
- 国民年金&国民健康保険への切り替え手続きは、退職した日の翌日から14日以内
- 必要書類は、年金手帳、退職日がわかるもの、マイナンバーがわかるもの、身分証明書、印鑑
- 手続きを忘れると、後日、未納分がまとめて請求される。健康保険の場合は、14日以内に手続きをしないと、医療費を全額自己負担することになる。
- 国民年金の保険料は、月々16,490円で、支払い方法は、1.納付書、2.口座振替、3.クレジット払い、の3つから選べる
- 国民健康保険料は各自治体によって異なる。会社の健康保険を任意継続できるので、どちらが安いかを比較してみよう!
- 退職した時期と再就職した時期によって、厚生年金と国民年金、会社の健康保険と国民健康保険の夫々の支払い月が異なる
- 再就職した際には、国民健康保険の脱退手続きを忘れずにしよう!
会社を退職して、直ぐに再就職しない場合は、国民年金と国民健康保険の手続きを忘れずにしましょう!特に国民健康保険への加入手続きを忘れてしまうと、怪我等で通院することになった時、大きな出費になってしまいます。
また、失業中等で国民年金保険料の支払いが厳しい場合は、所得の条件を満たせば、保険料の免除または納付の猶予(先延ばし)ができますので、是非利用してみて下さい。
※関連記事「失業中に国民年金の支払いが免除される条件とは?免除の4つのメリットを知っておこう!」